福岡・佐賀の税理士法人アーク・パートナーズのブログです。
相続税対策などで、毎年110万円ずつ贈与して少しでも財産を減らすという方法は新聞報道等でもよく見受けますが、果たしてこの方法が本当に効率的な相続税対策になっているのでしょうか。
確かに110万円までは贈与税は非課税枠の範囲内で贈与税は課されません。しかし、一年で贈与できる金額は110万円です。この贈与を30年連続で実行した場合は財産は3,300万円減少し、贈与税はゼロ円です。
一方で毎年310万円ずつ贈与していった場合はどうでしょうか。310万円贈与すると財産をもらった人は毎年20万円贈与税の納付義務が生じます。この贈与を30年連続して行うと相続財産は9,300万円減少し、贈与税は累計で600万円になります。
この方法を実行すると財産を9,300万円減少させるためにかかった税金が600万円で済むため、実質の税率は6.45%になります。
どうして310万円という数字が出てくるのかというと、贈与税は基礎控除である110万円を控除した後の金額が200万円までは贈与税率が10%だからです。従って、110万円に200万円を加えた310万円の贈与が一つの目安になります。
資産の額が増えると相続税の負担税率は一気に上昇する傾向にあり、また、近いうちの相続税の改正も踏まえると、多少なりの贈与税を払ってでも相続財産を生前に減らしておくことも有効な方法といえます。