福岡・佐賀の税理士法人アーク・パートナーズのブログです。
それでは、相続時精算課税制度を使った贈与について具体的な財産事例で検討してみます。
まず、土地の贈与はどうでしょうか。
土地は最近の路線価を見ていますと、前年並みか前年より少し下落したという傾向がずっと続いています。従って、土地の贈与を精算課税を使って申告すると、贈与時よりも相続時の方が評価額が下落している可能性が高いので、精算課税を使っての贈与はおすすめできません。
一方で自社株式の贈与はいかがでしょうか。 自社株式の評価額は特に類似業種比準価額の場合、ある程度評価額をコントロールすることが可能です。 類似業種比準価額を適用する場合は利益金額によって大きく評価額が変わってきますので、上場企業の株価が低迷しているときにあえて大きな損失を出して株価の評価額を下げた上で相続時精算課税制度を使って株式を贈与すると、評価額を低く固定した自社株式で将来相続税を計算することができます。
しかし、その後さらに業績が悪化した結果、相続時に贈与時よりもさらに評価額が下がってしまったというケースもあるかもしれません。
その場合は贈与時に自社株式の評価減対策を施したとはいえ、過去に贈与しなければよかったということになります。
数回にわたって相続時精算課税制度を検討してまいりましたが、この制度を使って申告する場合は、贈与税を申告する者自らが「贈与財産の評価額は今が一番低いと自らが信じるとき」に選択すべき制度といえるでしょう。信じるのは自分の信念でしょうか。。。。