福岡・佐賀の税理士法人アーク・パートナーズのブログです。
給与総額から差し引かれるものとして
社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険) と
税金(所得税、住民税)
があります。
おおざっぱな話であれば社会保険も税金も給料の額に比例するといえますが、細かい実務上の話でいえばそれぞれ算定根拠が異なっており、ややこしくなっています。
具体的には「通勤手当」は社会保険上は報酬とみなされるのに対し、税金上は給料とみなされません。(国の政策としてはシンプルに社会保険も税金も課税標準を統一しようとする意見もありますが。。。)
今回は社会保険(特に健康保険、厚生年金について)の算定基準の対象となる「報酬」の範囲について見ていきます。
厚生年金保険法3条3項、健康保険法3条5項に「報酬」の定義が以下の通り記載されています。(全く同じです)
賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。(条文はこちら)
「労働の対償として受け取るすべてのもの」という点がポイントです。
法律の定義だと大雑把すぎるため厚生労働省の通達で個別項目について細かく決められています。
例えば通勤定期の現物支給は会社が従業員に対し労働してもらうために負担しているため、労働の対償(対価)とみなされてしまうわけです。
(以下厚生労働省の通達です、参考情報として)
(1)通勤手当は、被保険者の通常の生計費の一部に当てられているのであるから、報酬と解することが妥当である。(昭和27年12月4日保文発第7241号)
(2)定期券購入費は報酬中に包含される。(昭和31年10月8日保文発第8022号)
(3)定期券を購入して支給することは、被保険者が事業主から受ける利益の一であり、金銭で支払われるもののほか現物で支払われるものも労働の対償となり得る。通勤費も生計費中の重要な支出の一であり、出張旅費の如き実費弁済的ものと異なる。(昭和32年2月21日保文発第1515号)
結婚手当等の慶弔費は労働の対価ではなくプレゼント的な要素が強いため「報酬」には当たりません。
通達で公表されていないものについて「報酬」となるかならないかは微妙なものが多そうです。
詳細は顧問の社会保険労務士にお尋ねください。
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