福岡・佐賀の税理士法人アーク・パートナーズのブログです。
過年度遡及会計基準が平成21年12月4日に企業会計基準委員会から公表され、平成23年4月1日以後開始する事業年度から適用されております。
①会計方針の変更
②過去の誤謬の訂正
②-1 税額が変わらないパターン
②-2 税額が変わるパターン
があった場合に遡及処理することとされています。会計上の見積りの変更の場合は遡及処理しません。
会計上遡及処理されると期首利益剰余金が変更されるため税務上の別表5(1)との整合性が取れなくなってしまいます。
では、別表5(1)の期首金額はどのように記載するのでしょうか?
ポイントは①の場合税務上は確定決算を貫くため、前期および当期の税額には全く影響を与えない点です。
具体的には
①の場合は別表5(1)の期首金額の内訳を変更させると理解すればいいかと思います。
期首の「繰越損益金」は前期申告時の期末「繰越損益金」から変更されます。
その差額は関連するBS項目の一時差異となり、利益積立金の合計額は前期末の金額と変わりません。
過去の誤謬の訂正であっても②-1であれば上記①の場合と同様です。税額に影響を与えないため利益積立金の合計額が整合してればOKです。たとえば過年度における減損会計の処理漏れがあった場合です。
では②-2の場合はどうでしょうか。税額が変わるため税務上も対応が必要になります。課税所得の増額修正であれば前年分について修正申告が必要となります。また、仮装経理による税額の還付となる場合は会計上「前期損益修正損」とされなくても法人税法129条の「修正の経理」として認められます。
なお、会計上の遡及調整を行う場合は税務上上記のような調整が必要となるため「過年度事項の修正の内容を記載した書類」を添付する必要がありますのでご注意ください。
詳細や事例は国税庁HPを参照ください。