福岡、佐賀の税理士法人アーク・パートナーズのブログです。
税制大綱が公開されましたが、今回は財産移転に関して書きたいと思います。
財産移転の代名詞である贈与に対する課税である贈与税については相続税の最高税率アップに伴い贈与税の最高税率もアップしました。贈与税は相続税の補完税であることからすれば当然です。
(相続税は相続開始時点の財産に課税⇒相続税の税負担を減らすために生きているうちに財産を配偶者や子に贈与してしまおう⇒生前贈与をした人としていない人とで相続税負担に不平等⇒贈与税を課すことで相続税を補完)
しかし、贈与税の最高税率アップを除いては生前の財産移転に対し緩和的な改正がなされております。
◇相続時精算課税制度の緩和=贈与者の年齢要件 65歳以上⇒60歳以上、受贈者の範囲に20歳以上である「孫」が追加
◇住宅等取得資金等の延長、拡大
◇教育資金贈与の延長
◇結婚子育て資金贈与の創設
◇贈与税率の引き下げ(直系卑属)=子や孫に対する贈与税率が緩和。
平成15年の相続時精算課税制度創設時に「高齢化の進展に伴って相続による次世代への資産移転の時期が従来より大幅に遅れてきている。また、高齢者の保有する資産の有効活用を通じて経済社会の活性化に資する」とされていたものが、今回の税制大綱においても「高齢者層から若年層への資産の早期移転」を促すことが再確認されております。財産の若年層への早期移転を促し経済を活性化する政策をますます進めていくことが明確となりました。
厚生労働省によれば「男性の平均寿命は 80.21 年とはじめて 80 年を超え、過去最高を更 新、女性の平均寿命は 86.61 年となり、過去最高を更新した」とのことです。また、財務省から被相続人の年齢の高齢化により相続人の年齢も高齢化していることが統計として出されております。
政策は生前の財産移転を推奨しております。今後も政策は同じ方向性を維持していくと思われますので、順張りで贈与戦略を考えていくことが重要であると思います。