税務調査運用に関して法令化され、10月から一部試験運用されていますが、平成25年1月より本格的に適用が開始されます。
さて、税務調査運用に関して法令化されたことにより、納税者にとって注意すべき点はどこにあるのでしょうか。今回より、何回かに分けて解説していきたいと思います。まず第1回目は「税務署からの事前連絡について」です。
第1回目:「税務署からの事前連絡について」
実地で調査をする場合には、通常税務署から事前に納税者と税務代理人に対して通知がされます。そして今回の改正では、税務署から『実地の調査をします。』という連絡が入った時に聞くことが増える、という点が大きく変わりました。
税務署から事前に連絡が入る(これを「事前通知」といいます。)時に、平成25年1月からは、次の項目が口頭で(通常の場合は電話によるものと考えられています。)伝えられます。
1 実地の調査を行う旨
2 調査開始日時
3 調査開始場所
4 調査の目的
5 調査の対象となる税目
6 調査の対象となる期間
7 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
8 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所又は居所
9 調査を行う当該職員の氏名及び所属官署
10 調査開始日時又は調査開始場所の変更に関する事項
11 事前通知事項以外の事項について非違が疑われることとなった場合には、当該事項に関し調査を行うことができる旨
書面での通知は、余程のことがない限りされません。そのため、これらの項目を聞きつつメモを取るのは、時間的にも精神的にも余裕がないと 無理でしょう。その場合、税理士等の税務代理人がいらっしゃれば、2~11までの項目については、「通知の詳細は、税務代理人を通じて聞きます。」と申し 出れば、その場で聞く必要もメモを取る必要もありません。
また、調査開始日時については、従来と同様に変更を申し出することも可能です。現場ではなるべく双方うまく運ぶように協議していますので、杓子定 規に考えず、その日がダメならば、きちんとダメだと申し出るようにしましょう。特に、病気や怪我等による一時的な入院や親族の葬儀等の一身上のやむを得な い事情、業務上やむを得ない事情がある場合には、合理的な理由があるものとして真摯に対応してもらえます。
このように、事前に実地の調査について連絡があること、その項目が国税通則法に明記されました。
なお、従前は、事前通知なしでの実地の調査は法令化されていなかったのですが、今回の改正により法令化されました。事前通知なしでの実地の調査と は、事前通知をすることにより、逃亡、書類等の破棄・移動・隠匿・改ざん等が推認される場合等適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認められる場合、など と例示がなされています。